児童思春期こころの相談センターでは、関連医療機関と連携して、児童思春期精神疾患に関する研究を実施しております。
神経発達症における脳構造・脳機能に関する研究
対象者: 中学生・高校生で、自閉スペクトラム症 (ASD) の診断を受けて精神科・小児科への通院歴がある方、および神経発達症の診断を受けていない方
神経発達症の背景に、どのような脳の特徴があるかは未だ十分に解明されていません。このプロジェクトでは、自閉スペクトラム症 (ASD) に焦点を当て、高解像度のMRI検査と心理検査を組み合わせて、その構造や機能の特徴を探っています。
自閉スペクトラム症における表情の認知・模倣に関する研究
対象者: 中学生・高校生で、自閉スペクトラム症 (ASD) の診断を受けて精神科・小児科への通院歴がある方、および神経発達症の診断を受けていない方
自閉スペクトラム症をお持ちの方が、対人コミュニケーションが苦手なことの背景には、表情や視線などの言語化されない情報の読み取りの苦手さがあることが知られています。このプロジェクトでは画像合成技術を用いた動画をつかった実験課題により、非言語コミュニケーションに重要な情報とその受容・表出のパターンを明らかにすることで、社会認知機能の向上をアシストするツールを開発することを目指しています。
多動解析研究
対象者: 5歳から中学生までの通院中の方で、ADHDの診断のあるかた・およびないかた
神経発達症の注意欠如多動症 (ADHD) では幼少期に多動特性が顕著に出現しますが、年齢とともに目立たなくなることもあり、その評価については確立した客観的指標が十分に検討されていません。本研究は多動という特性の客観的指標を確立することを目的に動画解析を行います。
神経線維腫症1型における脳構造・機能研究
神経発達症は、子どもたちの学校生活に大きな影響を与えます。単一遺伝子疾患において、脳のMRIを撮像して神経発達症の影響を検討しています。現在は、神経線維腫症1型における学習障害について、7テスラのMRIを用いて脳構造や脳機能に対する影響を調査しています。
自閉スペクトラム症児の知的能力と向社会的行動との関係について
向社会的行動は「自発的に他者のためになることをしようとしてなされる行為」と定義されます。自閉スペクトラム症児における知能と向社会的行動との関係を調査しています。
医療 - 学校/園連携研究(多施設共同研究)
児童精神科分野ではこどもを取り巻く様々な環境の調整が必要となります。医療機関だけでは解決できない問題も、家庭やこどもが集団生活する場(学校、園等)と医療機関が積極的に連携を行うことで、こどもにとって支援的な環境が整い解決していくこともあります。本研究では医療機関と学校の連携に関するアンケート調査や、保育士に対するアウトリーチ的支援の効果検証を行い、現在の児童精神科分野における連携の実態や改善策について検討します。